アイソパシー(Isopathy/同種療法)とは

アイソパシー(Isopathy/同種療法)は、症状を引き起こす原因物質をポテンタイズ(希釈・振盪)したレメディを使って病気を治療する方法です。

ホメオパシーは類似物質を用いますが、アイソパシーは同種の物質を使うところが異なっています。例えば、アレルギーの患者にはアレルゲン(アレルギーの原因物質、猫の毛、ダニ、ハウスダスト、花粉、特定の食品など)を適切なポテンシーに調整したレメディを投与します。

病原体(例えばインフルエンザウイルス)や病理組織(例えばガン細胞)、中毒物質(例えば麻薬、ドラッグ、タバコ)、公害物質(例えばダイオキシン、アスベスト、トリハロメタン)などから作られたレメディを服用することによってこれらの物質が引き起こす諸症状を解決することが可能になります。

治病原理は予防接種や減感作療法に似ていますが、アイソパシーで使われるレメディは西洋医学で用いられるワクチンなどよりもはるかに薄く希釈されています。

この療法がホメオパシーに勝る点は類似の症状を引き起こす物質を探す手間(これがホメオパシーの最大の難関です)がかからず、問題を引き起こしている原因物質さえ突きとめられれば即座に治療が可能になることです。ただし、治療できるのは原因物質が引き起こしている症状の範囲に限られる場合が多いことが良くも悪くもアイソパシーの限界を物語っています。ハーネマンの偉大さは「似たものが似たものを癒す」という原理を発見したことにありますが、「似たもの」には「似たもの」の症状の奥にある本質そのものを揺るがす力があり、必要なレメディが投与されればクライアントの全体性、つまり人生や人間存在そのものが治療されることになるわけです。それに対しアイソパシーによる効力は、特定の物質が心身に与えているある限られた症状の改善を超えることは稀で、そういう意味においては部分的治癒にとどまることがほとんどです。

では、アイソパシーの必要性はどこにあるといえるのでしょうか?

ホメオパシーは確かにとても優れた治療法ですが、患者の人生そのものを治癒するレメディをコンスタントに処方しているホメオパスは私の知る限り極めて稀にしか存在しません。しかも、まともなホメオパスが一日に治療できる患者数は根本治療を前提とすると1日に5人前後が限界だと思います。

人口は爆発し、病人は増え続けています。しかし、ホメオパスのポテンシャルや絶対数から言って、病人を正しく治療できるはずのホメオパシーは医療の外辺をうろついているに過ぎないというのが現状です。

個人的癒しを標榜するホメオパシーに対して、特定の原因に基づく問題(例えば、公害病や伝染病のように、共通の原因によって多くの人々に現れる病)を的確に取り除く力を持つアイソパシーは、その病理観と方法論において西洋医学よりのホメオパシーと言えなくはありません。しかし、現代においてはその恩恵に浴するべき人類は無数に存在し、しかもそれは容易に可能なことなのです。